◆春うらら。
わたしたちの住んでいるこの地面の下に、もうひとつの町がありまーす。
ぐねぐねのびる小さなトンネル、もぐらバスが走っていまーす。
『ものおきのした 1ちょうめ』なーんてバス停や、『だれかんちのにわ 3ちょうめ』なーんていうバス停も通っちゃいまーす。
お客のすずめさんや、いえねずみさんや、とかげさんも、とってものんびり。バスに揺られスーパーに買物にでかけまーす。このバス、ときどきこおろぎさんなんかがとびだして急ブレーキもかかったりいたしまーす。
ややや、今日の急ブレーキの原因は…、たけのこです。
でも、お客さんはいたってのどか、「たけのこじゃ しかたない」待ってくださいまーす。
掘り起こしに携わるもぐらけんせつのあなほりがかりさんも、けんせつがかりさんも、超カックイイ!のに、どこかのどか。
春うららな絵本でありまーす。
◆ピタゴラスイッチ
さて、わたしもこんな町に住みたいなあ、とちょっと思ったりいたします。
でも、思い起こせば、ちょいと前までは、町も、人も、案外こーんな程度にのんびりのどかに暮していたようにも思いますが・・・。
いかがでしょう。
作者の佐藤雅彦さんとうちのますみさんは、NHK教育でおなじみ「ピタゴラスイッチ」の製作者でいらっしゃるそうです。
ピタゴラスイッチは大好きで、ついつい見ほれてしまいます。非常に緻密精密な設計を、アナログに表現して楽しんでいく世界です。
この絵本にも同じ楽しさを感じます。
見返しに書かれた「(うんてんしゅさんからの)ごあんないの文面や、地下の町の地図、掘り出したたけのこを運ぶ手順を箇条書きで記したり・・・、楽しいです。
心にくい!
◆わたしの中の佐藤雅彦さん像。
この絵本を見ていたら、小学校のころ、ノートやわら半紙なんかに、授業中エンピツでこちょこちょと落書きをしていた隣の席の男の子の姿を思い出しちゃいました。
くだらなーい落書きやマンガなんだけれど、妙に精密正確で細やか。
背中を丸めてエンピツを走らせる姿・・・を思い出したのでありまーす。
(2011年3月掲載)