◆コロコロの心
子どもはころころが好きであります。
おむすびがころころ転がるのがうれしいし、転がりそうなものはなんでもころころ転がします。
自分だってころころ転がって、ころころ笑い転げます。
ですから、この絵本のように、「ころ ころ」と言ってもらって、「にゃーん」と叫んだ日ニャァ、ころころにゃーん、と転げまわって喜ぶのであります。
喜ぶのではありますが、狐につままれたような顔になるのであります。
とても小さな、まさしく012才の子どもたちだって、この絵本を読んでもらうと、なんだか驚いて、なにこれ!?という顔になり、それでも間違いなくお腹のまん中あたりは、ころころ喜んで、子どもたちはわけもわからず、「も、いっかい」と人差し指を立ててしまうのであります。
◆天才長新太さん
この絵本を、こんなふうに子どもたちが喜ぶであろうと、計算して創ったのなら、長新太さんという人はよほどに子どもを知っている人、ということになるのでしょうし、おそらくは、そんな計算などなしに、心のままに創られたのでしょうから、やっぱり、こんなわけのわからないものを創っちゃう長新太さんは、天才なんだなあ、と思うのであります。
◆常に驚かされて
亡くなられて一年がたちます。
昨年訃報を耳にしたとき、もっともっと、驚かせて欲しかったのに、ととても残念な思いにかられたのですが、今もこうして、長新太さんの絵本で、子どもたちが驚いている姿に、わたしは毎日驚かされているのだから、長新太さんには、きっと、ずっとずーっと、驚かされ続けるのだろうなあ、とだんだんうれしくなってきたのであります。
長新太さーん、今日もまた、子どもたちと読んじゃいましたぁ。
(2006年6月掲載)
|