◆ありあまるエネルギー
センダックが素晴らしいかいじゅうたちを描いています。
一度出会えば、誰の心にも住み着いてしまうかいじゅうたち。
どの子ども部屋にも、
あんなかいじゅうが住んでいて、
マックスくんの登場を待っているに違いありません。
子どもたちはありあまるエネルギーを撒き散らして生きています。
世界中のマックスくんには、
本領を思う存分発揮して、
ときには「かいじゅうおどり」を踊ってもらいましょう。
帰るところは、ちゃんと決まっているのですから。
◆◆娘たちの「かいじゅうおどり」◆◆
最近まで、家族でキャンプによく行きました。家族だけでキャンプに行くと、設営をさっと済ませ、あとはそれぞれ、のんびりぼんやりくつろぎます。
主人とわたしは、だらだらチビチビグラス傾け過ごします。
鍋から立ち上る湯気を見てチビチビ。
山間の木立のそよぎに耳を傾けチビチビ。
とくにすることもなくチビチビ。
自然の中に入ると、人はちゃんとおひさまに合わせておなかがすくようにできているのですね。
日暮れと共にランタンに灯をともし、早めの夕食にとりかかります。
お腹が満たされると、
薪の赤い炎を見てチビチビ。
炎の先のかげろうに心を馳せてチビチビ。
火の粉を目で追いチビチビ。
そんなわけで、二人の娘は、限りない静かな時間を使う術を自然に見につけることとなるのです。
小さなキャンプの達人たち。
木の実も落ち葉も、石ころさえ、彼女たちの友だちとなりえます。
枝をひろってマシュマロを焼く。
おそろいの白いフードつきセーターっでゆきだるま。
いよいよ熱が入ってくると、
「かいじゅうおどり」が始まります。
焚き火の周りを足踏み鳴らし踊ります。
その姿がテントや山をスクリーンにして大きくに映って。
火に近づくと影は一層大きくなって。
山に映った大きなかいじゅうに狂喜して、
踊りは益々激しさを増す。
主人とわたしは、達人たちの妙技を横目で見つつ、
チビチビを続けます。
(2001年4月掲載)
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