◆耳をすます絵本です
耳をすますっていうのは、心を澄ますっていうこと。
心の声に耳を傾けるっていうことだと思います。
◆いつもは聞こえない音が…
仔犬のマフィンが風邪をひきました。
小さな寝床でじっと寝ていると、家の中のいろんな音が聞こえてきます。
いつもだったら気がつかないような、いろんな音がチャンと聞こえてくるのです。
耳から音だけで聞いても心地よいような、ステキな文章です。
でも、きっとワイズガードの絵があることで、より一層想像力が広がっていくようにも思います。
いつもは気がつかないような音が聞こえる絵本です。
いつもは気にもとめない優しさが見えてくる絵本です。
◆◆わたしもね…◆◆
子どものころ風邪をひいて休むのが、なんだかちょっとうれしかった。
ボンヤリした頭でボンヤリいろんな音を聞く。
掃除機をかける音、食器を洗う音、
あっ、これが終わるときっと、なんか食べる?って、かあさんが聞きにくるなって。
ボンヤリと耳をすます。
トントントンと階段を上がって、プリンなら食べれる?
…ほらね!
おでこにあてたかあさんの手の冷たさや、
こっそり忍ばせてくれた湯たんぽの暖かさや、
チャンとおフトンかけときなさい、
と首の下にキュッツキュッと押し込んでくれるかけ布団の重さとか…。
それは音ではないけれど、そういう感覚も含めて、ボンヤリしているのにいつもとは違うどこかが研ぎ澄まされているような感じ。
それを感じるのがうれしかった。
子どものころ…。
(2008年2月掲載)