*娘たちと初めて長野に行ったとき
わたしたちが、玄関に横一列に並んであいさつしますと、
小さなおサル!?いえいえ失礼、
7才になるしゅん君は大黒柱の影から
こちらの様子をじっと伺っていました。
それから、スルスルスルっと太い柱を抱きかかえ、
吹き抜けとなる二階まで登って、
小首傾け、こちらをじーっと見つめましたね。
その瞳の大きいこと!黒いこと!
今でも忘れられません。
しゅん君は恥ずかしがりやで、
いつも物影からわたしたちのことを見てました。
そのくせ、トマトやカエルつかまえてそっと見せてくれる。
あの大きな黒い瞳でね。
今では、
すっかり青年になってしまったであろうしゅん君だけど、
あのころの輪郭や声がだんだんぼやけてしまった今も、
あの黒い瞳を忘れることができません。
おさる日記の瞳にも、駿君の瞳を感じます。
黒くて大きくて…まっすぐな瞳。
(2000年11月掲載)