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Summer Santa Claus
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  2002年 11月のゆんちゃんみなちゃん
ゆんちゃん15才 みなちゃん12才
 
  負けず嫌い
   

  首を痛めて一月半も寝てました。ちょっとでも動くと体中に電気が走り、手はしびれ、天井向いたまま動けずに。思い出しても恐ろしく、そして、悲しい毎日でした。いま少しずつ、元の生活に戻りつつあります。本当にご心配おかけしました。
さて倒れた日のこと、入院免れ家に帰っては来たものの、わたしは寝たまま、ただただ天井みつめるのみ。グウの音もでません。     
その傍に、涙ためて、じっと座りこんでいたみなちゃんですが、そのうち、寝てばかりのわたしを見るのに飽きてきた様子です。翌日、学校から帰ってくるとみなちゃんは、プリンを持ってわたしの枕元へ。けれどわたしには、すぐ枕元にいるみなちゃんの方を向くことすらできません。ああ、プリン大好き、プリンなら食べれる気がする、そう考え始めるとどうしてもプリンが食べたいわたし。
「みなちゃん、ママ、プリン食べたいなあ、食べさせて」
虫の鳴くよな声でお願いすると、耳元で、プチン!ジュルジュル・・・、みなちゃんはプリンにストローをブっさして、吸い上げてる模様。
「食べ物に何するの!それはママのプリンでしょ!」
わたしは、説得力のない叫び声を上げました。
「ママ、声出たじゃん。ほら、寝たまま食べれるよ」
みなちゃんはわたしの口に、ストローを突っ込みました。
ジュルルジュルル...。ほんと、だ。
次の日にはドンタコス(スナック菓子)。みなちゃんはまたも、枕元でボリボリ食べてる。耳ばかり冴えているので食欲がなくても妙においしそうに聞こえます。
「みなちゃん、ドンタコス、一個ママのお口に入れてくださいな」
今日は優しくお願いしてみる。するとみなちゃんはたった一言、
「起きれば?」
まあ、悔しい!なんて、イジワルなんでしょう。起きてやる!負けず嫌いはこんなところで発揮する必要もなかったのに、わたしはウネウネと体をねじり、ほんのわずかに右を向き、右肩を少し後ろにずらして右手をつき、そのままひざをしっかり折り曲げて…と、いくつもの工程を経て、とにかく自力で起き上がりました。
おすわりして、口に入れてもらうのを待っていると、みなちゃんは、大きいのを、ポン!と自分の口に放り込み、大きいのを、ポン!と自分の口に放り込み、小さいのを嫌々くれました。いやぁ、このイジワル娘、誰の娘だ。でも、ドンタコスはやけにおいしい。
「もう一個ちょうだい」
「あ、かわいいのあった。ママ、自分でとってごらん」
ドンタコスの上に、小さなカケラがのっている。ええっ!カワイイのってこの小さいの?超イジワル!摘まめないよう。指なんて震えてるんだ。でも、持ち前の負けず嫌いで、これも摘まんで食べました。
「ママ、手、動くようになったじゃん。じゃ、最後の一個、あげましょね」最後の一個を、パリンと割って・・・、もちろん小さい方をくれました。ほんっと、優しい娘でしょう!?
  さて、少し元気になってから、わたしは思いを巡らせたのであります。みなちゃんは看護に向いている・・・かもしれない・・・と。
2002年 12月のゆんちゃんみなちゃん
ゆんちゃん15才 みなちゃん12才