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Summer Santa Claus
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  2001年 11月のゆんちゃんみなちゃん
ゆんちゃん14才 みなちゃん11才
 
  おしゃれなみなちゃん
   

 みなちゃんはとってもおしゃれです。鏡に向かっている時間も、わたしよりずっと長い。
前髪を丁寧にとかして、耳の横で二つに結わいて。この高さも高過ぎても「お子ちゃま」になっちゃうし、低すぎると「お芋おねえさん」になっちゃう。あっ、わたしが言ったんじゃありません。みなちゃんの意見です。
とにかく耳のちょっと下、微妙な位置で結んで、最後に本の一筋、耳の横あたりの毛をはらりと垂らす。すっごい念の入れようです。
鏡見ながら自分のイメージに合わせてカットもしちゃいます。朝、みなちゃんの部屋のごみを捨てようとゴミ箱覗いたら、真黒い毛がいっぱいで、ギャッと、叫んじゃったこともあるくらいです。
  そのみなちゃん、夏休みの終わりから、バンダナを三角巾のように頭に巻いて毎日過ごしていました。毎日が調理実習みたい。でも、これもおしゃれのひとつなんでしょう。うんうん、かわいい。
さて、そんなある晩のこと、みなちゃんが寝た後で、いつものように「いい子になあれ、いい子になあれ」と、眠っているみなちゃんの頭をなでていたわたしは、おもわず悲鳴を上げました。
「みなちゃんに、ハゲがある!!」
頭のてっぺん、ちょうど前髪のつけ根のあたりが、五百円玉くらい、きれいに芝刈られたように禿げているのです。わたしの叫び声にみなちゃんも目を覚まし、あわてて頭をおさえます。
「大丈夫だよぉ。なんでもないよぉ。見ないでよぉ」
 
前髪カットに挑戦していたみなちゃんは、このくらいかな、と一握り手に取って、ジョキンとハサミを入れました。ところが手を放すとすっごく短い。眉毛丸出し。ヒエーどうしよう、とパニックに陥ったおしゃれなみなちゃん、そうだ、この部分だけ無ければ気づかれまいと、前髪握り締め、根っこからバッサリ、ひとおもいに切ってしまったんですね。
半ベソかいて話すみなちゃんの説明を要約するとこうなります。バンダナはハゲ隠しだったのです。
わたしとキャビは、笑うわけにもいきません。日頃の行いが、などとお説教するわけにもいきません。ただただ、お気の毒にと、深く頷きながら聞き入ったのでありました。

このはなし、月日が流れ、前髪もそろりそろりと伸び始め、やっと解禁となりました。