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Summer Santa Claus
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  2001年 10月のゆんちゃんみなちゃん
ゆんちゃん14才 みなちゃん11才
 
  狼の眉毛キャビの眉毛
   

 『狼の眉毛』という昔話を、ゆんちゃんみなちゃんにしてあげました。自分には生きる価値がないと思った男が、狼にでも食われてしまおうと山に入ります。けれど、狼たちは真人間は食べないと、眉毛を一本抜いてその男に渡すのです。狼の眉毛をかざしてみれば、その人間が真人間か畜生か、人間の本性がわかると教えて。男は狼の眉毛を持って里に戻り、その『人を見る目』で最後には狼長者と呼ばれるような立派な長者さまになったという日本の昔話です。
みなちゃんは、この昔話がとても気に入ったようでした。狼の眉毛って本当にあるの?と何度も聞いていましたから。
ですから、愛犬キャビちゃんが、いつもより間の抜けた顔を、斜めに傾け、わたしをみつめたとき「やられた!」と、すぐに思い当たりました。
そうです。みなちゃんは、自分の部屋で丸くなって寝ているキャビちゃんにも、眉毛がツンツンと生えているのを発見すると、我慢できずに、眉毛もヒゲも切ってしまったのでした。
「ちゃんと犬の本で、ヒゲが無くても問題ない、って調べたよぉ。どうしても、眉毛で見てみたかったんだよぉ」
と、言います。
でも、もちろん、これはとってもいけないことです。誰にも寝ている他人(犬だけど)の体にハサミを向けていい、なんていう権利はないのです。もう、怒った怒った!
でも、怒りながらその一方で、やっぱり、眉毛をかざして見たかったのだろうなあ、とも思ってしまうのです。
  この娘の側にいると、わたしはいつも混乱に陥ります。ウン十年積み上げてきた常識の枠が、ガラガラと音をたてて崩れていくような気になるのです。
でも、人は一日では作れません。また、これが正解、というゴールもありません。怒って悩んで、笑って悩んで、体当たりで人を作っている、いえいえ、その回りをウロウロしているのだなあ、と深く頷くばかりです。
さて、当のみなちゃんは、わたしの心配をよそに、ごめんね、キャビ、と軽くあやまり、二人もしくは一人と一匹は、今日も仲良くじゃれ合っています。
『ママはママだった』というのが、犬の眉毛でわたくしを見た、みなちゃんの感想でした。