雪が降りました。溺れるほどの雪でした。
その木にもこの土手にも、何かの思いをたたきつけるように、
しんしんと雪が降り積もりました。
やがて雪がやむと、白い世界は大きなプレゼントとなって子どもたちを興奮させます。雪ってのは昔から、犬と子どものどっかのコードを抜くようにできちゃっているのだな、きっと。部屋の中で、歌って、踊って、跳ね回り・・・、あげくに、帽子とコートと手袋はめた、ゆんちゃんみなちゃんが、夜の町に飛び出していきました。
「いいでしょ?ちょっとだけ!いいでしょ?」
「ちょっとだけ・・・いいよ」
ところが、パジャマの上にコート着て飛び出したゆんちゃんも、お風呂に入ってないから三十分だけと約束して、おねえちゃんについて行ったみなちゃんも・・・、帰ってこない帰ってこない帰ってこない。一時間待っても帰ってこない・・・。だけど、まあ、今日は仕方ない・・・っか。
子どもたちのハヤル心は誰にも抑えようがありません。だって、雪なんだもン。雪なんだもン。
おやおや、わたしまで、どっかのコードが抜けてしまったみたいです。妙にウキウキと二人を待ちながら、お汁粉こさえ始めちゃった。まあ、仕方ないっか。・・・だって、雪なんだもン。雪なんだもン。
2月のおまけ
さて、翌朝はりきって雪かきを手伝ってくれたみなちゃんですが、エイッと、おもいきり雪を放ったその瞬間に、
「あれ、ママ、お首が痛くて動かないよぉ」
みなちゃんは、突然『はしゆきおさん』になってしまいました。「いたこォの いーたろォ・・・」と、首を傾け歌うあのポーズです。右斜め30度に首を傾けそのまんま、その日は一日『はしゆきおさん』で過ごしました。
次の日になっても治らずに、みなちゃんは学校休んで病院に行きました。
「レントゲン撮るかなあ」
みなちゃんは、自分のガイコツを初めて見るんだと、ちょっとうれしそうでした。
初めて見たみなちゃんのガイコツは、首右斜め30度傾けて・・・、ガイコツもやっぱり『はしゆきおさん』でした。
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